ヤンゴン証券取引所の流動性(YSXの値幅制限、呼値)

ヤンゴン証券取引所(YSX)への市場の関心が弱まっている背景として、流動性の低下が指摘されている。
YSXの年間の売買代金回転率(売買代金÷時価総額)を計算してみると、2016年度の7.0%でもその低さに懸念を覚えるが、2017年度の2.5%というのは、ほとんど何も取引がなされていない状況と言われても仕方がない状況である。
現に、個別株の中では何日も取引が成立しない、つまり出来高がゼロの銘柄も見られる。
流動性が低い状況においては、当然ながら大量の株式を一度に決まった金額で買うことは難しく、また、保有銘柄数が多くなると売却の際に自らの売りが株価の下落を招くことも十分あり得る。
つまり、マーケットの価格は参考価格に過ぎず、必ずしもその金額で取引できるわけでは無いのである。
今後、外国人投資家を市場に招いていく中で流動性の向上は一定程度期待できようが、一方、この流動性の低さそのものが外国人投資家の市場参入の妨げとなり得る点も無視できない。
<YSXの値幅制限と呼値>
また、流動性の低さは株価の変動を高めることから、株価の変動にかかわるYSXの値幅制限と呼値(株価の変動の単位)を把握しておくと良いだろう。
YSXでは指値と成行の注文方法があり、成行の場合、取引注文は成約される可能性が高いものの、株価は以下の表の値幅制限の範囲で変動する可能性がある。極端に流動性が低い中ではわずかな成行注文でも値幅制限一杯に上下する点に注意したい。
例えば、今3,000チャットの株価を示していたとしても、成行注文で買い注文を入れた結果、実際に変えた株価は3,500チャットになってしまったということが起こり得る。
YSXの値幅制限
基準価格 | 値幅制限 (上下共) |
|
1,000Ks以下 | 100Ks | |
1,000Ks超 | 2,000Ks以下 | 250Ks |
2,000Ks超 | 4,000Ks以下 | 500Ks |
4,000Ks超 | 10,000Ks以下 | 1,000Ks |
10,000Ks超 | 20,000Ks以下 | 2,500Ks |
20,000Ks超 | 40,000Ks以下 | 5,000Ks |
40,000Ks超 | 100,000Ks以下 | 10,000Ks |
100,000Ks超 | 200,000Ks以下 | 25,000Ks |
200,000Ks超 | 400,000Ks以下 | 50,000Ks |
400,000Ks超 | 1,000,000Ks以下 | 100,000Ks |
YSXは呼値についても下の表のように定めており、結果的に株価の変動率が高まりやすい構造になっている。例えば、今5,000チャットの株価の銘柄は、100チャット単位での動きしかしない。これは率にして2%であり、この場合、上にも下にも2%ずつ動いていくということで、変動リスクとしては大きいと言えるだろう。
YSXの呼値
基準価格 | 呼値 (上下共) |
|
1,000Ks以下 | 10Ks | |
1,000Ks超 | 4,000Ks以下 | 50Ks |
4,000Ks超 | 10,000Ks以下 | 100Ks |
10,000Ks超 | 40,000Ks以下 | 500Ks |
40,000Ks超 | 100,000Ks以下 | 1,000Ks |
100,000Ks超 | 400,000Ks以下 | 5,000Ks |
400,000Ks超 | 1,000,000Ks以下 | 10,000Ks |
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