外資系銀行によるミャンマー企業向けの金融サービスが可能に(外銀参入による銀行サービスの向上に期待)
2018年11月8日、ミャンマー中央銀行(CBM:Central Bank of Myanmar)は、外資系銀行に対する国内企業への融資を認める通知を公表した。
ミャンマーでは、現在邦銀3行(SMBC、MUFG、みずほ)を含む13の外資系銀行が支店の開設を認められているが、これまで金融サービスの提供は外資系企業に対するものに限定されていた。
国内企業の資金調達環境が厳しく推移する中、経済界からの要請があったとはいえ、CBMはミャンマーの規制当局の中でも最もコンサバな組織の一つであり、本規制緩和は大きな動きとして捉えて良いだろう。
本規制緩和の背景としては、2018年8月に施行された新会社法の影響もありそうだ。
旧会社法では、外国資本が1株でも入っていれば外国企業と見做されていたところ、新会社法では35%までであればミャンマー内資企業とすることとされた。
これまで、外銀は外国企業に対する金融サービスは認められてきたわけであり、例えば、外資30%の合弁会社は旧会社法上の外国企業としてサービス提供対象に入っていた。
しかし、新会社法では当該企業は内資系企業とカテゴライズし直され、従来の中央銀行の規制の枠組みでは、外資系銀行が対応出来ない対象となってしまった。これは実質的に外銀にとって不利な制度変更になっていたわけだ。
本改正は、ミャンマー企業にとって、資金調達の円滑化が図られるという意味でポジティブではあり、現地では本緩和により資金循環の好転を期待する声も上がっている。
しかし、果たして本当に外銀が所謂ミャンマー企業(従来からの内資企業)に対して融資を実行するかどうかは極めて怪しいだろう。
まず第一に、内資銀行は貸出に際して土地等の不動産担保を前提にしてきた一方、外銀は従前より融資に際して、親会社保証を前提としてきた。
純粋なミャンマー企業が親会社保証を出せるということはありえず、従って、外銀としては融資の前提を整えていくことが必要となる。
第二に、これは内資銀行にとっても同様なチャレンジではあるが、企業の財務諸表の未整備がある。財務内容の健全性を図る以前に、それを精査するための会計書類が未整備、或いは監査書類の信頼性が薄い中で、ローカル銀行に比較し審査基準が厳格な外銀が、実際に融資に至る事例は極めて限定的となるのではなかろうか。
なお、今回の外銀による貸出し解禁について、2018年11月29日付けのMyanmar Business Todayの報道によれば、中銀は外貨建ての貸出金利に規制は設けない方針である(チャット建ての貸出しについては、上限13%が適用されている)。従って、マーケットレートに基づき、自由な金利設計が可能となる点については評価されるだろう。
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