ミャンマーでのホワイトマネー(White Money)を取り巻く環境(2018年税法にかかる国会での議論に注目)
ミャンマーでは近年ホワイトマネー(White Money)の取り扱いについて広く議論されてきた。
White Moneyとは、Clean Moneyとも呼ばれ、当地では要は税金支払い後の資金を指す。
広く税の支払いを免れる慣習が広がってきたミャンマーでは、White Moneyの比率は低く、逆に言えば、資金の源泉の証明が難しいGray/Black Money(必ずしも闇資金という意味では無い)が大半を占めている。
政府の入札案件やライセンスにかかる資本金払い込みにおいては、近年White Moneyであることを厳格に確認する運用がなされてきた。
その為、White Moneyをもたない個人はそのような新規の事業展開に進むことが出来ず、結果として国家の経済活動の中で必要な資金が循環しないという事態を招いてきた側面もある。
来年度(2018年4月からの期)にかかる税制議論の中で、ミャンマー政府はTax Amnesty(税金の恩赦)として、Gray/Black MoneyをWhite Moneyに切り替えることにより、経済の活性化を図ることを「提案」した。
具体的には、2018年4月以降半年以内に申請した場合は申請額の3%の税金を払えば、また2018年10月以降半年以内に申請した場合は申請額の5%の税金を払えば、それぞれWhite Moneyとして認める内容である。
但し今般、2018年3月20日、国会は2018年度の税制を承認する中で、当該Tax Amnestyについては棄却する決定を下した。
今回の議論の中では当初より、法人所得税であれば25%の支払いをこれまで真面目に行ってきた企業等に比して、3%から5%の恩赦はあまりにも寛大、かつ公平性にかけるとの指摘はあった。
ただ、同時に恩赦の税率を高めればWhite Moneyへの切り替えは進まず、効果が限定的になるとの見方もされていた。
棄却の理由としては、必ずしも上記の比率の低さでは無く、当該恩赦にかかる国民理解が不足していること、また2018年4月以降1年を経過した後(12ヶ月以内に申請をしなかった場合)のペナルティの取り扱いが不透明、ということである。
海外からの注目は低い本Tax Amnestyであるが、ミャンマーの現地企業向けの財務アドバイザリーも行う当社としては、経済全体へ与えるインパクトは相当程度大きいと見てきた。
2018年Tax Lawでの導入が棄却されたことにより、今後は、当該恩赦を個別法として立案および国会提議するか、或いは来年度のTax Lawまで待つか、という議論に注目していくことになる。
この記事へのコメントはありません。