YSX内に上場推進専門チームが発足(上場企業開拓に向けた活動が本格化)
2018年3月26日、ヤンゴン証券取引所(YSX : Yangon Stock Exchange)は取締役会の承認(3月25日付)を受け、4月2日より上場コンサルティング部門(Listing Consulting Division)を新設することを公表した。また、同時に、上場企業開拓に向けたSTF(Special Task Force)を立ち上げた。
YSXの今回の取り組みは、上場候補企業への初期的な情報提供(上場基準や上場審査等の概要)や、上場を推進する各種アドバイザー(証券会社、法律事務所、会計事務所等)との連携を通じて、上場に向けた橋渡しをしていくことにある。
YSXでは、2016年3月にFMIが上場して以降、2018年4月現在5社が上場している。
周辺のラオス、カンボジアの証券取引所に比べれば好調な立ち上がりと見ることも出来る一方、ミャンマーの市場の潜在性からすれば、依然証券市場が適切に機能している状況とは言い難い。
また、市場全体の時価総額は6,088億チャット(2018年4月30日現在)と、日本円で5百億円程度に過ぎない状況に留まっている。
上場企業数が少なく、また魅力的な上場企業が無いことで、新規の投資家を呼び込むことが出来ていない。また投資家がいないということは企業の資金調達ニーズに応えられていないことを意味し、新規の上場企業を生むことの妨げとなってきている。
このような負のサイクルから抜け出すためには、政策的に上場企業数或いは投資家のいずれかを市場に呼び込むことが重要であり、これまでミャンマー政府は新規上場企業に対する優遇税制を認めるなどの施策を実施していきている。
但し、その効果は現時点では限定的であり、ミャンマーの企業に対して上場の魅力や具体的なプロセスを明確化することのダイレクトなアプローチの必要性が指摘されてきていた。
今般の取り組みは、従来、証券会社等のアドバイザーに依存してきた情報提供機能を取引所に一元化することで、証券市場全体としての効率性を高めることとして期待される。
現状、全ての証券会社が実質赤字状態を継続する中で、アドバイザリーにかかる人件費負担を負うことが証券各社の経営を圧迫している。今回のYSXの取り組みはこうした状況の中にあって極めて適切な処置と評価できるだろう。
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