ミャンマー資本市場創設メンバーが語るミャンマー経済・投資の実際

ミャンマー株が外国人投資家へ開放(ミャンマーの証券会社を通じてヤンゴン証券取引所の株式の売買が可能へ) ①概略・背景編

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ヤンゴン証券取引所の実質開業(第1号銘柄の上場)から約4年、待ちに待った外国人の取引がついに解禁される。

2016年3月の開業時点では、市場設立が第一優先であり、外国人取引の開放は大きなアジェンダにはなっていなかった。当初、ミャンマー人投資家だけでも一定のモメンタム形成は可能とも見られていた。

しかし、その後株式市場は低迷を続け、また会社法の改正が具現化されるに連れ、外国人への市場開放の議論が本格化。

実際会社法の改正は大きな布石となった。ヤンゴン証券取引所では上場出来る企業を当初より「ミャンマー企業」(内資企業)に限定している。旧会社法では一株でも外国人が保有する企業は外資企業(非ミャンマー企業)とされ、結果として外国人による上場株式の購入は出来ない状態であった。

2018年8月より施行された新会社法では、外国人の保有割合が35%までの企業をミャンマー企業(内資企業)とみなす大幅な改正が打ち出され、これによりヤンゴン証券取引所においても外国人の購入が可能となる道が開けた。

当初、新会社法施行(2018年8月)と合わせて外国人取引の解禁を行う計画もあったが、開放する「範囲」について議論が錯綜し長期化。

特に、「非居住者」の外国人が取引を行う場合の実務上の制約は多いため、この点についてのルール設計の議論に多くの時間が費やされてきた。

一時は、既に取引を行っているミャンマー人と手続き上に大きな違いが見られない「居住者」に限定して開放し、その後「非居住者」に広げる2段階方式についても議論がなされてきた。

ここで言う「非居住者」における実務上の制約の例としては、銀行送金、納税、株主通知等の扱いが挙げられる。

このうち特に銀行送金については、ミャンマー中央銀行(CBM: Central Bank of Myanmar)が海外への資金流出(Capital Outflow)を厳格に管理する一方、投資家にとっては自由な資金移動が必要不可欠であるため、その効率的な管理方法についての最適解を見出すことが重要であった。

※「居住者」(Resident)とは、外国為替管理法(Foreign Exchange Management Law)第2条(e)の定義が準用されており、「直近12ヶ月に183日以上をミャンマー国内で居住する者」とあり、「非居住者」は居住者以外の者である。

しかし、このような議論のさなかにあっても、株式市場の低迷は継続。居住者に限った開放では、市場へのインパクトは限定的と見込まれることから、非居住者も含めた一体的な開放へ舵が切られた。

2019年7月12日、ミャンマー証券取引委員会(SECM: Securities Exchange Commission of Myanmar)は、告示(Notification, No. 1/2019)を出し、外国人投資の開放を明確化。

この中では、居住・非居住の別は設けず、一斉開放のスタンスを固めることとなった一方、個別具体的な方法については後の指示書(Instruction)に委ねる対応とした。

今回、遂にその指示書(Instruction, No.1/2020)が2020年3月6日公表。居住者・非居住者それぞれに異なる種別の証券取引専用口座を「銀行」に開設することで、一番の支障であった資金送金の問題を解消することとなった。

同指示書では、取引開始は2020年3月20日とされ、証券取引所及び証券各社における準備は進んでいるものの、上述の証券取引専用口座の開設のための銀行側の準備は遅れており、3月20日より直ちに取引が開始出来るのは難しい情勢となっている。

一部の銘柄では依然として外国人取引は認めらないものの、市場規模が小さいヤンゴン証券取引所に対する外国人投資家開放のインパクトは決して小さくは無く、またほぼ同時期に公表された6社目の上場銘柄の登場も合わせて、今後モメンタムが改善していく可能性が見込まれる。

関連記事 : ミャンマー株が外国人投資家へ開放(ミャンマーの証券会社を通じてヤンゴン証券取引所の株式の売買が可能へ) ②口座開設編 2020年3月10日

関連記事 : 証券口座開設支援サービスのご案内(外国人投資家によるミャンマー株式購入をワンストップで支援) 2020年3月14日

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