ミャンマー税務(源泉徴収税の廃止が決定)
2018年6月18日、ミャンマー計画財務省(MOPF:Ministry of Planning and Finance)は、告示(Notification 47/2018)を公表し、7月1日よりミャンマー国内居住者に対して支払われる際に適用されている源泉徴収税2%の取扱いを廃止することを決めた。
今回の改正の話に入る前に、ミャンマーの源泉徴収の仕組みについてこれまでの運用も踏まえて、簡単に解説する。
ミャンマーで事業活動(法人組織の運営)を行う際に知っておいた方が良い知識であろう。
<ミャンマーの源泉徴収税>
ミャンマー国内で物品販売やサービス提供を行う際は、代金の支払いサイドが、受取りサイドに代わって税金を前もって徴収し、支払いサイドが納税を行うこととされている。
例えば、ミャンマー居住法人同士で1万ドルのサービスの提供がされたとしよう。
サービス提供側(受取サイド)は、1万ドルに加えて5%の商業税にかかる500ドルをインボイスに加えて合計1万500ドルで請求を行う。
但し、この際、居住法人については2%の源泉徴収が義務付けられてきた為、サービス受託側(支払いサイド)は2%を控除した上で支払いを行う。従って、実際の支払額は1万500ドルでは無く、1万300ドルとなる。200ドルは支払い側が納税義務を負ってきた。
<今回の改正>
今回の改正では、ミャンマー居住法人(内資・外資によらず)に対する物品の販売やサービスの提供について上記のとおり適用されてきた2%の源泉徴収義務が無くなる。
従って、支払いサイドは、請求された商業税5%をそのまま支払い、受取りサイドが当該5%をそのまま納税する。
一点、今回の改正は支払いサイドが民間企業の場合をベースにしており、政府機関や国営企業が居住法人に対して支払いを行う際には、引き続き2%の適用が残る点に留意が必要である。
また、これまで取引額が50万チャットに満たない場合は控除を行う必要は無いとされてきたが、合わせてこれを100万チャットに変更も行っている。
これまで実務の煩雑化を招き評判の悪かった源泉徴収税の取扱いが廃止されたことは、民間経済にプラスの効果をもたらすものと捉えて良いだろう。
この記事へのコメントはありません。