ミャンマー資本市場創設メンバーが語るミャンマー経済・投資の実際

ミャンマー新会社法を解説(定款の取扱い、MOA/AOAからConstitutionへ)

2018年8月1日に施行されたミャンマー新会社法を地道に解説。

今回は、旧法で悪評の高かった定款について取り上げる。

 

定款の位置付けの変更

旧会社法では、定款(MOA / Memorandum of Association)と附属定款(AOA / Articles of Association)の2つに分かれていたものが、新法では、Constitutionとして一本化される。

旧法のMOA/AOAでは予め定められた雛形から変更することの柔軟性が実務上低く、多くの企業はDICA(企業登記等の管理当局)への通りの良い雛形をそのまま活用するという状況にあった。実際には企業が定款を自由に構成することは難しい状況と言えた。

今般の改正では、Constitutionの雛形が公表されたものの、これはあくまでもテンプレートとしての位置付けとなり、会社法に準拠している限りにおいては、各企業による自由な規定が許されることになる。

 

Constitutionへの変更に伴い、特に大きな改善が見られたのが、事業目的の記載を任意化とする措置であろう。企業側の選択により記載をしないということも許される。

旧法では事業目的を記載することが義務付けられ、これが実務上、設立時の許認可の対象となっていた。

特定の業種については会社設立自体をを認めないという運用を行ってきたわけだが、このことが他の規制との関係で不透明さを生み出してきていた。

新法では、事業目的の記載が不要となったため、会社設立自体は何ら障害無く行う事ができ、その企業が行う事業については、別途それぞれの業法・ライセンス等に委ねるという措置がなされている。

 

旧定款の取扱い

新会社法施行前から存続する企業は、DICAに対して再登記の必要があることは既に述べたが、定款の取扱いはどうなるのであろうか。

新会社法では、以下の通りの規定を設けている。

第12条 (定款の内容)

Contents of a constitution
(d) Subject to sub-section (e), the Memorandum of Association, any Articles of Association and any other constituent document of an existing company shall take effect as the constitution of such company following the commencement of this Law, provided that at all times the constitution has no effect to the extent that it is inconsistent with this Law.
(e) The objects expressed in the former Memorandum of Association of an existing company will (unless removed by the members voting to amend the constitution in accordance with the requirements of this Law) continue to apply until the end of the transition period. The objects will be deemed to have been removed after this time unless a notice in the prescribed form confirming the passing of a special resolution to maintain them is filed with the Registrar. This sub-section is without prejudice to section 29.

(d)では、MOA/AOAは、新会社法に規定する内容に反しない範囲においてはそのまま有効に機能するとされている。

新会社法施行前から存続する企業については、2019年1月末までに再登録を行う必要があるが、その際、既存のMOA/AOAをそのまま活用することも出来る。

再登録時にMOA/AOAの写しをAttachment(添付)とすることで足りる。

それらは既に株主の承認を得て存在しているものであるから、この際、改めて株主総会の決議は必要とならない。

(e)では、MOAにおいて記載していた事業目的については、Transition Periodの間は有効に存続するが、それ以後は記載が削除された状態と見做されるとしている。

Transition Periodは、以前も出てきているが、以下の通り会社法施行から1年間(2019年7月末迄)を指している。

第1条(c)(xlii)(Transition Periodの定義)

transition period” means the period of 12 months from the date of commencement of this Law;

 

定款の言語

定款に用いられる言語は第16条において明確化されている。

第16条 (定款の様式)

Format of constitution
The constitution of a company:
(a) must be prepared in Myanmar language; and
(b) may also be prepared in English language (in addition to Myanmar language); and
(c) must be divided into paragraphs numbered consecutively.

(a)ではミャンマー語での記載がMUSTであることを明確化。

(b)ではミャンマー語に”加えて”英語版を作ることも”可能”としている。

 

定款の変更手続き

定款の変更は、株主総会の特別決議(出席株主の議決権の4分の3以上)が必要とされている。

新会社法施行前から存在する既存企業については、再登録時にモデル定款(Model Constitution)を選択することが楽であるが、この場合でも定款変更という会社法上の手続きは必要である為、総会の特別決議を経ることが求められる点は留意する必要がある。

第17条(定款の変更)

Alteration of constitution
Subject to the provisions of this Law, and to any additional conditions contained in its constitution, a company may, by special resolutionalter or add to the provisions of its constitution, and any alteration or addition so made shall be as valid as if originally contained in the constitution, and be subject in like manner to alteration by special resolution.

また、特別決議を得た株主総会から28日間以内にDICAに対して届け出を行う必要がある。

第18条 (定款変更の手続き)

Procedure on approval of the alteration
(a) Notice in the prescribed form together with a copy of the constitution as altered, shall, within 28 days from the date of the passing of the special resolution to amend it, be filed by the company with the Registrar, and he shall register the same and the certificate shall be conclusive evidence that all the requirements of this Law with respect to the alteration have been complied with, and thenceforth the constitution so altered shall be the constitution of the company.

 

定款雛形の構成

最後に2018年7月10日の告示(No.60/2018)により公表された定款のテンプレートと記載項目(例)を載せておく。

DICAが公表する定款のひな形はこちら

Chapter 1 Definitions (用語の定義)
Chapter 2 Preliminary matters (前提事項)※会社の形態、発行する株式の種類
Chapter 3 Share capital (株式にかかる事項)
Chapter 4 Certificates (株券にかかる事項)
Chapter 5 Lien & Forfeiture (先取特権と株式の失権)
Chapter 6 Calls (未払い株式への払込要請)
Chapter 7 Transfer of Shares (株式の譲渡)
Chapter 8 Transmission of Shares (株式の承継)
Chapter 9 Alteration of capital (資本金の変更)
Chapter 10 Variation or cancellation of rights or restrictions (株式の権利の変更)
Chapter 11 General meetings (株主総会)
Chapter 12 Proceedings at general meeting (株主総会開催要件)
Chapter 13 Voting (議決権行使)
Chapter 14 Resolutions without meetings (総会の書面開催)
Chapter 15 Proxies (議決権の代理行使)
Chapter 16 The Directors (取締役)
Chapter 17 Directors’ contracts (取締役要件)
Chapter 18 Powers of Directors (取締役の権限)
Chapter 19 Proceedings of Directors (取締役会)
Chapter 20 Secretary (秘書役の選定)
Chapter 21 The Seal (社印)
Chapter 22 Financial statements (財務諸表)
Chapter 23 Dividends and other distributions (配当)
Chapter 24 Winding up (残余財産の分配)
Chapter 25 Minutes and registers to be kept (株主総会及び取締役会議事録)
Chapter 26 Inspection of records (企業情報の開示範囲)
Chapter 27 Notices (株主への通知)
Schedule (添付書類) ※優先株を発行した際は株式の内容等について添付

 

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