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ミャンマー新会社法を解説(株主総会決議、公開・非公開企業)

2018年8月1日に施行されたミャンマー新会社法を地道に解説。

今回は、株主総会決議要件、公開企業(Public Company)・非公開企業(Private Company)の定義について取り上げていく。

<株主総会決議>

新会社法では、株主総会決議として、普通決議(Ordinary Resolution)特別決議(Special Resolution)の2つが存在する。

旧会社法では、普通決議(Ordinary Resolution)、臨時決議(Extraordinary Resolution)、特別決議(Special Resolution)の3つに分かれていたが、今回、臨時決議は廃止された。

元々、臨時決議と特別決議の間には大きな差は無かった為、この点はさほど気にする程も無いマイナーな改正と言える(決議要件は一緒であったが、特別決議の場合は臨時決議と異なり、総会の21日前までに招集通知に議案を入れ込むことが必要、というわずかな差があった)。

それでは、まずは普通決議(Ordinary Resolution)から見ていこう。

第1条(c)(xx)(Ordinary Resolutionの定義)

ordinary resolution” means a resolution which has been passed by a simple majority of the votes of members entitled to vote as are present in person or by proxy (where allowed) at a general meeting of which notice specifying the intention to propose the resolution as an ordinary resolution has been duly given;

総会出席者の単純過半数を決議要件としている。

母数には、直接出席している株主の他、代理人による議決権行使(Proxy)も認めている。ここら辺は、旧法と何ら変わらず全く違和感も無い。

例えば、取締役の選任は以下のとおり旧法どおり普通決議要件となる(旧会社法83B条(ii)、新会社法173条(a)(ii))

第173条 (取締役の任命)

Appointment of directors
(a) In default of and subject to any regulations in the constitution of a company:
(i) the initial directors of a company will be the persons named in the application for incorporation made under Part II of this Law;
(ii) thereafter, the directors of the company shall be appointed by the members passing an ordinary resolution in a general meeting; and

次に特別決議(Special Resolution)

決議要件は、従前と変わらず、出席株主(委任状による議決権行使を含む)の4分の3以上の賛同としている。

日本での特別決議は3分の2以上である為、ミャンマーでも同様だと勘違いしておられる方も多いが、ミャンマーでは特別決議について、より高いハードルを設定している。

第1条(c)(xl)(Special Resolutionの定義)

special resolution” means a resolution which has been passed by a majority of not less than three-fourths of the votes of members entitled to vote as are present in person or by proxy (where allowed) at a general meeting of which notice specifying the intention to propose the resolution as a special resolution has been duly given;

特別決議は、会社の基本構造に関わる重大な決定を対象にしていると考えれば良い。

例えば、企業の骨格を形成する定款を変更しようとする場合については、特別決議要件となっている。(旧会社法20条1項、新会社法17条)

第17条(定款の変更)

Alteration of constitution
Subject to the provisions of this Law, and to any additional conditions contained in its constitution, a company may, by special resolution, alter or add to the provisions of its constitution, and any alteration or addition so made shall be as valid as if originally contained in the constitution, and be subject in like manner to alteration by special resolution.

また、後述の会社形態の変更についても、特別決議要件とされている。

第57条(会社形態の変更)

Changing of company type
(a) A company may change to a company of a different type as provided in this section by passing a special resolution resolving to change type and complying with this Division.
(b) The following changes may be made subject to compliance with this Division:
(i) a private company may change to a public company;(非公開会社から公開会社への変更
(ii) a public company may change to a private company;(公開会社から非公開会社への変更
(iii) a company limited by guarantee may change to a public or a private company; and
(iv) an unlimited company may change to a public or a private company.

ちなみに、普通決議と特別決議の使い分けについては、単に決定事項の対象だけでなく、その「方法・程度」によって異なる場合があるので留意が必要だ。

例えば、減資手続き(116条(a)及び(b))や自己株買い付け(121条(a)及び(b))については、株主平等に行う場合(プロラタ配分の場合)は普通決議、一部の株主について特別な扱い等を行う場合は特別決議というようにハードルを分けている。株主平等の原則は、ミャンマーにおいても存在するため、特定の株主にとって不利益を生じさせるような事態についてはより多くの賛同を必要とさせているわけだ。

<普通決議・特別決議による決議事項の主な事例(まとめ)>

普通決議取締役の任免、外部監査人の任命、財務諸表の承認、取締役報酬の決定、減資・自己株取得(通常配分)

特別決議社名変更、定款の変更、会社形態の変更、優先株の発行、減資・自己株取得(特別配分)

<公開企業・非公開企業の定義>

こちらも旧会社法と基本同じであるが、新会社法でも企業を大きく公開企業(Public Company)非公開(Private Company)の2つに区分している。

まずは非公開企業の方から説明する。

第1条(c)(xxv)(Private Companyの定義)

private company” means a company incorporated under this Law or under any repealed law which:
(A) must limit the number of its members to fifty not including persons who are in the employment of the company;
(B) must not issue any invitation to the public to subscribe for the shares, debentures or other securities of the company; and
(C) may by its constitution restrict the transfer of shares. Provided that where two or more persons hold one or more shares in a company jointly they shall, for the purposes of this definition, be treated as a single member;

(A)は株主数について最大で50名という縛りを設けている。

逆に言えば、株主数が50名を超える場合は、非公開企業ではいることは出来ない、ということである。

(B)はより本質的に重要な要件で、一般大衆に対して株式・社債等の公募活動をさせない、という制限を課している。

証券取引法における公募の要件は50名以上の勧誘を伴う募集活動であるが、会社法では単に「一般大衆」に対して幅広く株式の募集行為をすることを禁じている訳である(会社法上、特段人数要件等は規定されていない)。

(C)は譲渡制限を意味しており、(A)(B)がMustで始まっているのに対して、ここではMayであることが重要だ。

定款で定めを設けることにより譲渡制限がかかる、ということになる。なお、「譲渡制限」とは、日本の概念と同様であるが、株式の売買を行う際に、株主間で勝手に譲渡を行うことは出来ず、対象会社の取締役会における決議が必要というものである。

実務上、非公開企業の場合は譲渡制限をかけておいて問題無いだろう。

将来的な成長資金の獲得に向けて調達手法を広げていこうとするのであれば、非公開企業の会社形態では自ずと限界が生じ、公開企業への転換を通じて外部の資本を迎えていくという選択肢もあるかもしれない。

次に公開企業の定義を見ていく。

第1条(c)(xxviii)(Public Companyの定義)

public company” means a company incorporated under this Law, or under any repealed law, which is not a private company;

公開企業の定義は至ってシンプル、つまり「非公開企業で無い会社」。MECEが利いていて分かりやすい。

上記の非公開企業の定義を元に考えると、まず株主数が50名を超える場合には公開企業で無ければいけない

ただ、勘違いが多いのは、株主数が50名以下の場合である。この場合、非公開企業でも良いし、公開企業でも問題無い。公開企業だからといって、株主数を50名超にしないといけないということでは無いわけだ。

旧会社法では公開会社の株主数は最低7名という制限があったが、新法でこれは廃止されている。

従って、極端に言えば、株主1名の公開企業というのも設立は可能ということになる。実際、株主数が10名にも満たない公開企業も存在する。

外資系企業について言えば、現地法人を公開企業とする必然性は通常無いと考えて良い。将来的に取引所に上場を目指すような合弁会社等でなければ、これら規定はあまり意識する必要は無いだろう。

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