ミャンマー資本市場創設メンバーが語るミャンマー経済・投資の実際

ミャンマー情勢の最新情報(最大限の警戒が必要な明日2月22日。これ以上の犠牲者を出さないために今こそ求められる冷静さ)

※ 本記事は、2021年2月21日(日)ミャンマー時間13時半に執筆しています。

※ クーデター発生日より毎晩Clubhouseにて音声での情報発信を行っています(@myanshin)。ネット回線遮断時はご容赦下さい。ミャンマーの今を知って頂きたいという「信念」に基づいてお届けしています。

※ 発生日からの時系列、2月1日(月)2月2日(火)2月3日(水)2月4日(木)2月5日(金)2月8日(月)2月9日(火)2月10日(水)2月11日(木)2月12日(金)2月14日(日)2月16日(火)2月17日(水)2月19日(金)の記事も合わせてご覧ください。

軍事クーデター発生から3週間が経過する2月21日、国軍と民衆の間の対立は増々エスカレートしている。

2月20日(土)、第2の都市マンダレーでは治安部隊によるデモ隊への発砲により少なくとも2名の死者が出た。2月9日にネピドーで警察官に頭部を撃たれたミャトゥエトゥエカイン(Mya Thwe Thwe Khing)さんも19日死亡が確認されており、クーデター発生後の関連死者数は3名となった。他にも重傷者数は数十名に上ると見られる。

国軍側はこれまで再三に亘って現行憲法を遵守する立場を明確にしてきた

一方で、憲法353条では「如何なる国民の生命・自由が脅かされることがあってはならない(”Nothing shall, except in accord with existing laws, be detrimental to the life and personal freedom of any person“)」ことが明言。

また、憲法354条では「(a項)信念及び意見を表現する権利(”to express and publish freely their convictions and opinions”)」及び「(b項)武力を用いず平和的に集会を行う権利 (”to assemble peacefully without arms and holding procession”)」を保障している。デモ隊側の行為は憲法に認められた行為である一方、それを武力によって押し潰す国軍の行為は明らかに言動の不一致と捉えられるだろう。

武力衝突ばかりに目が行きがちではあるが、政治犯としての逮捕数も足元増加傾向が維持されている。 政治犯支援協会(AAPP : Assistance Association for Political Prisoners) によれば、 逮捕された人数は、2月12日には384名(内3名有罪判決、24名解放済み)であったが、2月20日時点では569名(内4名有罪判決、46名解放済み)まで拡大。国軍による粛清の動きには衰えが見えない

なお、射殺された方々の生々しい映像や画像がミャンマー国内のSNS上で拡散されているが、この点については賛同出来ない。もちろんその意図は悲惨な現状を共有することにあることは理解するが、一方亡くなられた方或いはその遺族のプライバシーに関わる問題でもあり、そのような行為は極めて慎重であるべきであろうと思う。

<最大限の注意が必要な明日2月22日>

1988年の民主化デモは当初3月頃より始まっていたが、同年8月8日にはミャンマー全土での大規模なデモの呼び掛けが行われた(所謂8888民主化運動)。同日にはデモ鎮圧の為、国軍による無差別発砲により多くの死傷者が生じた。

今般のデモ活動においても当初よりゾロ目の年月日における大規模化が予想されてきた。すわなちそれは明日、2021年2月22日(月)である。

国民による不服従運動(CDM : Civil Disobedience Movement)は、既に多くの経済機能を麻痺させつつあるが、明日は更にその範囲を広げることになるだろう。

既に多くの現地企業は明日のオフィス閉鎖を決定している模様であり、小売店各社も休業を余儀なくされる情勢だ。現地流通最大手のシティマートは全店閉鎖を本日公表した。

平和的に行わることが予想されるデモ隊に対して苛立つ軍側が強硬な措置で対抗してくることに極めて強い懸念が広がっている。

<在緬大使によるメッセージの影響力>

昨日2月20日、現地日本人社会では丸山在緬特命全権大使によるスピーチに最大限の賞賛の声が広がった。ミャンマー人からも高く評価されている模様だ。

16日のシンガポール外務大臣による発言によりシンガポール企業・製品への不買運動が広がる中、或いは日本が主導するティラワ工業団地等でのデモ活動が活発化する中、現地日系社会では日本がCDMのターゲットにされかねない懸念も一部生じていた

これまで日本の政府は今般のクーデターに対する明確な立場を保持しない姿勢と見られていた。2月2日に「クーデターと認識」(加藤官房長官)の後は、12日の「重大な懸念」(加藤官房長官及び茂木外務大臣)に留まっていた。

丸山大使は、大使館前に集まるデモ隊の前に姿を現し、デモ隊側からの書簡を受け取ると共に「日本はミャンマーの人々の声を無視しない」ことを名言。軍政に対する批難は避けられたものの、実質的に国民の立場を支持する発言と受け取られた

今般、大使自らがミャンマーの国民向けにミャンマー語で語りかけたことは非常に大きな意味を持つことだろう。

<国民民主連盟(NLD)解党に向けた狙い>

国軍はクーデター後再三に亘って次回総選挙の開催を明言している一方、仮にそれが5-10年後に行われたとしても、民主化勢力、すなわち国民民主連盟(NLD)が圧勝することは誰の目にも明らかであろう。

そのような中、国軍側は何故総選挙の開催に自信を持てるのか。シナリオとしてやはりNLD解党に向けた狙いがある可能性は高いだろう。

政党を解散させることが出来る根拠として、憲法407条では「(a項)非合法と認められる組織(”having been declared an unlawful association under the existing law”)」、「(b項)国家への反乱を企てる武装勢力と直接・間接問わず連携・支援する組織(”directly or indirectly contacting or abetting the insurgent group launching armed rebellion against the Union or the associations and persons determined by the Union to have committed terrorist acts or the association declared to be an unlawful association “)」、「(c項)直接・間接問わず外国の政府・組織等から金銭的な支援等を受けた組織(”directly or indirectly receiving and expending financial, material and other assistance from a foreign government, a religious association, other association or a person from a foreign country”)」とされており、国軍はいずれかの条項を用いてNLDを解党に持ち込む策があり得る。

既にお伝えしている通り、国軍はNLDに関連する支援基金であるキンチー財団に対する捜査を進めているが、その目的は407条(c項)に引っ掛ける動きと見られる。国軍側としては、海外からの資金が同財団を通じて政党としてのNLDに流れているとの疑惑を持っている可能性が考えられる。

また、2万3千人を超す囚人への恩赦による治安の悪化は、それに対抗しようとする民衆側の武装を促す措置とも考えられ、仮に政党としてのNLDがこれを支援する動きを見せれば407条(b項)を適用しようとする思惑が十分考えられるだろう。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

2021年2月
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728