ミャンマー資本市場創設メンバーが語るミャンマー経済・投資の実際

ミャンマー軍事クーデター関連の最新情報を現地から発信(Facebookへのアクセス制限が開始)

※ 本記事は、2021年2月4日ミャンマー時間10時半に執筆しています。

※ クーデター発生日より、毎晩Clubhouseにて音声での情報発信を行っています(@myanshin)。多くの方にお聴き頂き誠にありがとうございます。

※ 発生日からの経緯、2月1日(月)2月2日(火)2月3日(水)の記事も合わせてご覧ください。

軍事クーデター発生から4日目の朝は、ミャンマー国内でのFacebookへのアクセス規制という衝撃のニュースから始まった。

政権与党である国民民主連盟(NLD)は、クーデター発生から72時間については国民に反抗運動の自制を求めていた模様であるが、本日4日早朝に期限を迎えた。それに伴い、本日以降のNLD支持層による大規模なデモの発生等が懸念されていた。国軍側は、デモの集会を呼びかける手段として想定されるFacebookへのアクセスを制限することにより、デモの発生を抑え込むという強硬策にうって出たわけだ。

<Facebookへのアクセス規制の状況>

ミャンマー通信情報省は、本日から2月7日までの4日間、Facebookへの接続を遮断するとの声明を公表。MessengerやInstagram等も含まれている模様だ。

現在ミャンマー国内では、携帯キャリアが4社(国営のMPT、北欧のテレノール、中東のオレドー、ミャンマーの軍系とベトナムの合弁Mytel)がある。また、固定回線についてはMPTはじめ、民間ISP各社がサービスを提供している。本記事執筆時点で確認できているところでは、携帯3社(MPT、テレノール、オレドー)、また固定回線についてはMPTがFacebookへの接続ができない状況だ。

幸い私は軍系のMytelのSimも持っているため、そちらを使ってFecebookへの投稿が出来ている。が、会社の固定回線はMPTであるため、アクセスが出来ない。軍のキャリアだけは開通を許すところが何とも国民感情を逆なでする行動に感じる。

<アウンサンスーチー国家顧問とウィンミン大統領の逮捕劇>

昨日3日の夜には 、新たなニュースがミャンマー国民に衝撃を与えた。自宅軟禁中のアウンサンスーチー国家顧問を警察当局が訴追し15日までの身柄拘束を裁判所が決定したのだ。

既に以前の記事でも説明している通り、警察当局は内務省傘下にあり、また内務省は軍の直轄の組織として考えられる。今回の非常事態宣言(State of Emergency)により司法権も国軍司令官に委譲されていることからすれば、上記の逮捕劇は茶番であり、出来レースだろう。

特に酷いのは、逮捕理由がスーチー氏の自宅で見つかった無線機が「適法に輸入の認可を取っていなかった」ということだ。有罪となれば最大3年の禁固刑が科され、1年後に予定されている次回総選挙への出馬もかなわなくなる可能性がある。

ウィンミン大統領(2月1日に実質罷免され、大統領職はミンスエに委譲済み)については、昨年成立したCOVID19法における感染症対策を行ったとの容疑での訴追であり、同様に15日までの拘留が決まっている。

もはや、スピード違反でも、手を上げて道路を渡らなかったでも、理由は何でも良かったのだろう。国際社会が共通して自宅軟禁されていた与党幹部の即時解放を求めていたのに対して、国軍は「合法的に」その理屈をこじつけたわけだ。

<湧き上がる国民の憤懣>

2月2日の夜8時には、物を叩いて音を発することで軍事クーデターを批難する国民の行動が広がった。自宅の窓を空けて鍋などを叩いている様子が広く報道されている。昨日3日の夜8時には、国歌斉唱により態度を示すとの事前情報があったが、実際には前日と同様に鍋を叩いて音を出す運動が多かった。背景としては、ミャンマーの国歌が元は軍によって作られたものということでの見直しのようだ(事実関係不明)。

昨晩夜8時から概ね15-20分程、大きな音が街に響いた。我が家でも近隣中で鍋を叩く音がこだまし、道路では運転中の人がクラクションを鳴り響かさせていた。国民の不満が沸々と高まっている現実を思い知らされた。特に、3日の騒音は、2日の規模より遥かに大きく、上述のスーチー氏の逮捕拘留とも相まって国民感情が極限まで高まっている状況は間違いないだろう。

<軍関連製品の不買運動>

足元、軍の関連製品の不買を勧める運動が広がっている。誰が作ったか明らかでは無いが、丁寧にA4で5ページにわたって軍関連のブランドや製品名が並んだリストが広く共有されている。その中には、軍の運営する金融機関、小売店、メディア等の他、飲料やタバコのブランド等も含まれている。ざっと見るところ、200項目程度はある。

ロヒンギャ問題以降、国際世論が高まり、軍の資金源となる事業収益(配当)が細り、資金が枯渇する環境が続く中、国軍単体としての収支関係は今後さらに悪化することが見込まれる。

<日米が「クーデター」を認定>

昨日3日、主要7か国(G7)外相は今回のクーデターを批難する共同声明を発出している。また、スーチー氏をはじめとした自宅軟禁状態を解くことを求めたが、これについては上記のとおりミャンマー国軍によりロジックがすり替えられてしまった。

また、日米両国は正式に今回の事案を「クーデター」と認定した。国軍が出動して大統領を拘束している時点で、これをクーデターと呼ばずして何と呼ぶのか疑問であったが、3日になり一応クーデターのお墨付きを得られた。

米国の国務省は、ミャンマーへの経済援助の見直しをすることにも言及。世界の民主化警察である米国としては、軍事政権に対する圧力を高める行動に出ざるを得ないことも理解できるが、コロナ禍で生活に困窮する一般のミャンマー国民に影響を与える施策は是非ともご遠慮願いたいと個人的には感じる。

<金融市場への影響>

昨日3日(水)から取引を開始したヤンゴン証券取引所(YSX)では売り注文が広がった。市場全体の推移を示すミャンピックス(MYANPIX)は、YSXで現在上場する6社の全てが組み込まれている株価指数であるが、クーデター前の終値443.72(1月29日)から417.25(2月3日終値)まで1営業日で6.0%も強烈に下落した。

一方、クーデター発生日とその翌日(2月1日・2日)は影響の見られなかった為替市場にも動揺が広がっている。2日の中央銀行公表レートは1米ドル=1,337.5チャットであったが、昨日3日は1米ドル=1,392.3と、わずか1日で3.9%のチャット安をもたらした。3日の市中における為替レートは一時1,440チャット近辺までの下落が生じていた模様である。今後、ミャンマー国内で自国通貨であるチャットを米ドルに交換する動きが加速し、チャットの暴落を招く可能性も十分考えられるだろう。

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