ミャンマー資本市場創設メンバーが語るミャンマー経済・投資の実際

ミャンマー情勢の最新情報(広がる不服従運動、狭まる解決の道筋)

※ 本記事は、2021年2月17(水)ミャンマー時間12時に執筆しています。

※ クーデター発生日より、毎晩Clubhouseにて音声での情報発信を行っています(@myanshin)。ネット回線遮断時はご容赦下さい。ミャンマーの今を知って頂きたいという「信念」に基づいてお届けしています。

※ 発生日からの時系列、2月1日(月)2月2日(火)2月3日(水)2月4日(木)2月5日(金)2月8日(月)2月9日(火)2月10日(水)2月11日(木)2月12日(金)2月14日(日)2月16日(火)の記事も合わせてご覧ください。

社会活動が麻痺し得るまでの抗議活動(CDM : Civil Disobedience Movement)を果たして国軍側は事前に想定していたのだろうか。

事前のシナリオからずれているのだとすれば、足元の動向は国軍に焦りを募らせている可能性もあるだろう。

2月16日(火)ミャンマー国軍はクーデター後初となる記者会見を開催。国軍による非常事態宣言発出にかかる経緯を説明した。

会見は国家統治評議会(SAC : State Administration Council)の報道官であるゾーミントゥン准将(Brigadier General Zaw Min Tun) が登壇。同氏は今般のクーデター発生を匂わせる発言を直前(1月26日)に行っていたのと同一人物。

会見では(1)国軍側の正当性、(2)デモ活動の批判、(3)総選挙開催による権限移譲を改めて強調。これまでの主張から特段の変更は見られないが、抗議活動が収まらないことへの苛立ちは広がっているだろう。

<NLD議員に対する粛清が拡大>

国家統治評議会は、2月15日(月)刑法505条(b)への違反としてNLD議員17名に対する逮捕令状を発した

2月13日(土)には民主活動家として広く知られるミンコーナイン(Min Ko Naing)氏を含む7名に対する逮捕状を出していたが、今回はNLDの幹部がターゲットとされた。17名は全て連邦議会代表委員会(CRPH : Committee Representing Pyidangsu Hluttaw)のメンバー

一時は拘束されていたNLD議員は2月5日に独自の議会を開催、CRPHを組成した。CRPHは2月9日にはアウンサンスーチー国家顧問の再任命を決定していた。

今回の国軍側の措置は、CRPHが立法機能を行使し国軍側と異なる法令を発出し始める前の事前防止措置とも捉えられる。懸念されていた通り、国軍としては二重政権を許さない姿勢を明確化してきたと考えられるだろう。

(CRPHの17名の構成メンバー)

※ CRPHは当初(2月5日)15名で発足。その後2月10日に少数民族政党出身者2名を追加して現状17名で構成。

<アウンサンスーチー国家顧問に対する追加訴追>

クーデターから2日後の 2月3日に無線機の違法輸入(Export and Import Law第8条)という文脈不明な罪で逮捕されたアウンサンスーチー国家顧問に対して、2月16日今度は自然災害管理法(Natural Disaster Management Law)第25条違反の容疑での訴追がなされた。

国軍側は当初15日までだった拘留期限を直前に17日までに延長。NLDの選挙不正や資金フロー等に関する徹底的な捜査を進めてきたようだが、おそらく目立った証拠が見つからなかったものと思われる。敢え無くウィンミン大統領と同じ自然災害管理法を持ってこざるを得なかった可能性が高そうだ。

自然災害管理法25条では、「善管注意義務を怠って自然災害を起こした、或いは起こし得た者は、3年以下の禁固或いは罰金に科す(Whoever, if the natural disaster causes or is likely to be caused by any negligent act without examination or by wilful action which is known that a disaster is likely to strike, shall be punished with imprisonment for a term not exceeding three years and may also be liable to fine.)とあり、コロナの感染拡大を引き起こしたことにかかる容疑と見られる。

検察側の立証手続きは3月1日に開始される見込みであり、国軍が司法権も牛耳る中、アウンサンスーチー国家顧問に対してどのような判決が下されるかに注視していく必要があろう。

<刑法と刑事訴訟法の改正>

2月14日、国家統治評議会は刑法(Penal Code)と刑事訴訟法(Code of Criminal Procedure)を改正。デモ活動家を幅広く逮捕することを可能とする法整備を進めた。

特に刑法124条Aでは、「口頭や書面等によらず、政府・軍・兵士に対して、嫌悪感(Hatred)・不服従(Comtempt)・不信(Disaffection)をかき立てる者は、罰金か最大で7-20年の禁固刑若しくはその両方(Whoever by words, either spoken or written, or by signs, or by visible representation, or otherwise, brings or attempts to bring into hatred or contempt, or excites or attempts to excite disaffection towards the Governments established by law for the Union or for the constituent units or the Defence Services or Defence Services Personnel shall be punished with imprisonment which may extend to twenty years with fine or with imprisonment which may extend to seven years fine or (fine, *bothの間違い?))とし、CDMを呼びかける行動自体を取り締まる根拠を明確化している。「by signs」とあることから、街角でプラカードを掲げた抗議もこれに抵触するだろう。

市民による萎縮の動きが生じ得るかは不明であり、対立の構図は増々激化していくことが予測される。

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