ミャンマー資本市場創設メンバーが語るミャンマー経済・投資の実際

ミャンマー情勢の最新情報(米国の経済制裁第一弾が発動)

※ 本記事は、2021年2月12(金)ミャンマー時間11時に執筆しています。

※ クーデター発生日より、毎晩Clubhouseにて音声での情報発信を行っています(@myanshin)。ネット回線遮断時はご容赦下さい。ミャンマーの今を知って頂きたいという「信念」に基づいてお届けしています。

※ 発生日からの時系列、2月1日(月)2月2日(火)2月3日(水)2月4日(木)2月5日(金)2月8日(月)2月9日(火)2月10日(水)2月11日(木)の記事も合わせてご覧ください。

本日2月12日はミャンマー(旧ビルマ)の独立を合意したPanglong協定の締結記念日(Union Day)であり祝日。デモはミャンマー全土で依然治まりを見せていない。米国の経済制裁発令による先進各国の対応検討、狂気のサイバー法の成立懸念、また建国の父であるAung San将軍の生誕日を明日に控え、デモ活動の勢いは増々高まっていくだろう。

<米国の経済制裁発令により高まる国際的圧力>

2月11日(木)、米国はバイデン大統領による事前の発表の通り、今般のクーデターに関与したとされる個人10名、企業3社を制裁対象に加えることを明らかにした

10名中、以下の6名は国防・治安評議会(NDSC : National Defense and Security Council )のメンバーであり、クーデター発動にかかる主導的な立場にあったと断定

・ミンアウンライン国軍司令官(Commander-in-Chief of the Burmese military forces Min Aung Hlaing) ※ロヒンギャ問題を受けて2019年12月10日に指定済み

・ソーウィン国軍副司令官(Deputy Commander-in-Chief of the Burmese military forces Soe Win )  ※ロヒンギャ問題を受けて2019年12月10日に指定済み

・ミンスエ副大統領(First Vice President and retired Lieutenant General Myint Swe) ※ミャンマー軍事政権は大統領と認定しているが米国はこれを認めない立場であるため、「副大統領」として記載

・セインウィン中将(Lieutenant General Sein Win

・ソートゥト中将(Lieutenant General Soe Htut

・イエアウン中将(Lieutenant General Ye Aung

また、以下の4名については、2月2日に国軍が発足させた行政評議会(State Administration Council)のメンバーとして制裁対象に認定した。

・ミャトゥンウー大将(General Mya Tun Oo) ※国防大臣(Minister of Defense )に就任した人物

・ティンアウンサン海軍大将(Admiral Tin Aung San) ※運輸・通信大臣( Minister for Transport and Communications)に就任した人物

・イェウィンウー中将(Lieutenant General Ye Win Oo ) ※行政評議会の局次長(Joint Secretary of the SAC)に就任した人物

・アウンリンドゥエ中将(Lieutenant General Aung Lin Dwe ) ※行政評議会の局長(Secretary of the SAC )に就任した人物

また、法人については国軍の重要な資金源となっている宝石等を扱う以下の企業3社が指定。

・Myanmar Ruby Enterprise ※ミャンマーエコノミックホールディングス(MEHL : Myanmar Economic Holdings)の100%子会社で1996年に設立。

・Myanmar Imperial Jade Co., LTD. ※MEHLの100%子会社で1996年に設立。

・Cancri (Gems and Jewellery) Co., LTD.

今回の法人指定に際しては、国軍系の財閥の中心母体であるMEHL及びMEC(Myanmar Economic Corporation)が制裁対象に含まれるかが注目されていた。今回の米国の対象範囲は極めて限定的であり、国民経済に影響を与え得る両社は含めない措置を取り、追加制裁に対する含みをもたせたと捉えらえる。

米国財務長官のイエレン(Janet L. Yellen.)は、「国軍が態度を変えない限り、追加的な措置の投入を予定している。今後デモ隊に対する暴力的な行為が行われれば、ミャンマー国軍は今日の措置が単なる序章だと知ることになるだろう (We are also prepared to take additional action should Burma’s military not change course. If there is more violence against peaceful protestors, the Burmese military will find that today’s sanctions are just the first.)」とコメント。今後、他の国軍系の企業に対する制裁追加により、一層の締めつけがなされる可能性もあるだろう。

デモを行うミャンマー国民は今回の米国の制裁発動を歓迎する一方、一層厳しい制裁を求める( “We are hoping for more actions than this as we are suffering every day and night of the military coup here in Myanmar, ” )声が上がっている(ロイター報道)。

<言論弾圧に向けた狂気のサイバー法の成立が進展>

勢いづくデモを挑発するかのように、国軍は「サイバーセキュリティ―法(Cyber Security Law)」の制定に向けた準備を進めている。本法案が成立すれば、軍政はネット上の情報統制にかかる強い権限を持つことが可能となる。

通信サービス各社は利用者の個人情報を保管し、当局の求めに応じて提供する義務等を定めている。

2月9日(火)にミャンマーの通信各社に配布された法案はアウトラインを含めて36ページに及ぶ。※法案の全文(全89条、17ページ)はこちら

これに対して、法案反対の立場の150団体は「本法は、人権・表現の自由等の民主主義の原則に反するものThe so-called bill includes clauses which violate human rights, including the rights to freedom of expression, data protection and privacy, and other democratic principles and human rights in the online space)」として糾弾している。 

<アウンサンスーチー国家顧問が再任命>

2月5日に「就任宣誓(Parliamentary Oaths)」に署名したNLD議員298人は、2月9日(火)に独自の国会を開催し現在逮捕拘留中のアウンサンスーチー氏を国家顧問として再任することを決定した。これにより、同氏の任期は2025年までに延びた。

国家顧問職はアウンサンスーチー氏が憲法上大統領に就任出来ないことを受けて、2016年に制定された国家顧問法(State Counselor Law)に基づく。同法は当時軍籍議員の反対があったものの、NLD議員の賛成多数で可決。アウンサンスーチー国家顧問に事実上「大統領を上回る存在」を許容する根拠である(形式的には大統領の次に位置付けられるNo2職)。

<NLD関連基金にも影響>

2月11日の現地メディアIrrawaddyの報道によれば、国軍はNLDに近いチャリティ基金として機能しているキンチー財団(Daw Khin Kyi Foundation)に対する調査を進めている。同財団はアウンサンスーチー国家顧問の母親の名前(Daw Khin Kyi)から名付けられ2012年に設立された。国民の生活水準向上に向けた基金として広く国際機関にも認知されている団体だ。

同報道によれば、現在逮捕拘留中のアウンサンスーチー国家顧問に対する余罪(現在の罪状は9台の無線機(Walkie-talkies)の違法輸入にかかる”Export and Import Law”への違反)を追及することを意図している可能性が高い。海外からの資金提供が行われたのでは無いかとの疑惑を元に調査を進めている模様だ。

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