ミャンマーの税制(法人税、商業税及び個人所得税)
ミャンマーの法人・個人にかかる税制について、最低限知っておきたい知識を中心にまとめていく。
なお、ここでの情報は2017年11月現在のものであり、最新の情報については現地の専門家に確認して頂きたい。
<法人税>
ミャンマーの法人税(Income Tax)率は現在25%。一部上場企業については軽減税率の20%が一定期間適用される。従前設けられていた国内法人(内資)と外国法人(外資)の差異は現在は解消されている。
譲渡益課税についても従前は外国企業に対して40%と極めて高い税率を課していたものの、現状では国内法人・外国法人共に原則10%が適用されている。
固定資産の減価償却については、計画・財務省の内国歳入局(Internal Revenue Department)が定めた償却率の範囲で計上可能となっている(例:建物15年~20年、機械装置10年、車両5年~20年)。
<商業税の取り扱い>
ミャンマーでは、他国で一般に課税される付加価値税(VAT)に相当する商業税を原則5%としている。商業税法(Commercial Tax Law 1990)では、タバコや酒類等に対して高い商業税を課しているものの、多くの商品・サービスが5%とされている。
また、商業税は生産の各段階(企業間取引)で課税する一方、各供給業者が支払った税金について控除(相殺)を認めることにより、結果的に最終消費者が税負担を行う形で設計されている。
具体的には、企業は仕入れ時に支払った商業税を仕入先から徴収するForm31によって売上税額から控除することになる。但し、売上税額から控除出来ない仕入れ範囲の規定が不明確であり、税務署による実務運用上は、直接的な関連性の薄い仕入税額も控除可能となっている。
<租税条約の締結状況>
2017年11月現在のミャンマーと租税条約を締結している国は10カ国、うち7各国が既に発行済みだ。日本とは依然締結されていない。この事は、日本企業がシンガポール経由での投資を増やすことの一因にもなっている。
締結済み:英国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、インド、バングラデシュ、インドネシア、韓国、ラオス
発効済み:英国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、インド、韓国
<法人> |
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【課税年度】 | 4月‐3月 | ※2019年10月より10月 – 9月に変更予定 |
【税務申告期限】 | 翌事業年度の6月末迄 | ※譲渡益課税については所得の発生の都度、資産売却日から1か月以内に申告 |
【法人税率】 居住法人 非居住法人(外国会社の支店等) |
25% | ※2015年4月の税法改正により、居住法人と非居住法人との間の税率の差異が解消 |
【譲渡益課税】 居住法人 非居住法人(外国会社の支店等) |
10% | ※石油・ガス事業法人(40-50%)を除く |
【配当課税】 | 非課税 | |
【欠損金の繰越】 | 3事業年度 | ※非居住法人(外国会社の支店等)は繰越欠損金は認められていない |
<個人にかかる税金>
年183日を超えてミャンマー国内に滞在する外国人には全世界所得課税が適用される。
所得税率は以下表の通り累進課税が適用されており、最高税率は25%となっている。
<個人> |
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【対象となる外国人居住者】 | 年184日以上の滞在者 | ※課税年度内(4月ー3月)にミャンマー国外に183日以上滞在するものは非居住者 |
【課税対象(居住者)】 | 全世界所得 | ※課税対象には、給与・賞与・手当その他の福利厚生費が含まれる |
【課税対象(非居住者)】 | ミャンマー国内源泉所得 | |
【所得税率】 | 0-25%の 累進税率 |
※居住者共通(ミャンマー人・外国人) ※課税所得の税率は以下の累進税率が適用 1-200万チャット:0% 200万-500万チャット:5% 500万-1000万チャット:10% 1000万-2000万チャット:15% 2000万-3000万チャット:20% 3000万チャット超:25% |
【譲渡益課税】 | 10% | |
【配当課税】 | 非課税 |
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