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ミャンマーの内戦と少数民族問題(停戦協定の行方)

2017年1月23日、2年超にわたって目立った進展が見られなかった全国停戦協定(NCA : Nationwide Ceasefire Agreement)に2つの武装勢力が追加加盟することが明らかとなった。

NCAは、前政権(USDP政権)が総選挙直前となる2015年10月15日に以下の武装勢力との実質的和平を実現したもので、長らく続く少数民族との武力衝突の解決に向けた大きな一歩として国際社会からも高く評価されていた。

  1. RCSS : Restoration Council of Shan State
  2. KNA : Karen National Union
  3. DKBA : Democratic Karen Benevolent Army
  4. ABSDF : All Burma Students’ Democratic Front
  5. CNF : Chin National Front
  6. PNLO : Pa-O National Leberation Army
  7. KNU/KNLA Peace Council
  8. ALP : Arakan Liberation Party

 

但し、NCAの締結に向けて幅広い武装勢力との協議を行いはしたものの、2015年当時最終的な合意に至ったのは8勢力のみであり、これら8勢力は全体の兵員数からすれば2割強と、全国的な停戦とは程遠いものでもあった。

下の図は、2015年の停戦協定の実現の際に現地メディアによって報道された各勢力の兵員数であるが、特に2大勢力と言われているKIA(Kachin Independence Army)とUWSA(United Wa State Army)は含まれていない

このことからUSDP政権が選挙対策を意識し、全国的な和平が進んでいるとの印象を広める為に、まずは締結を急いだとの見方も出来る。

 

Source : Myanmar Times October 16, 2015

※ 各武装勢力との個別の和平協議の状況は、こちらを参照。

 

総選挙において大勝を果たした現政権(NLD政権)は、USDP政権の方向性に沿って2016年以降、少数民族との和解を政権の最優先課題に位置付け、21世紀パンロン会議(21st Century Panglong Conference)を開催して、和平協議を継続してきた。

NLD政権としては、第三者的立場から、国軍と少数民族を仲介することが期待されてきたが、その成果は芳しくは無い。

少数民族側のミャンマー国軍への信頼は薄いことが重くのしかかっていると言える。

 

今回加盟が決まったのは、The New Mon State Party (NMSP)とLahu Democratic Union (LDU)の2つであり、いずれも限定的な勢力しか有していないグループである。

背景としては、これら2グループは2017年10月15日に開催されたNCA締結2周年イベントに出席していた。

この会合には今回の2グループを含む以下の勢力の出席が見られ、場合によっては出席していた他のグループとの間でも、一定の停戦協議が進展している可能性がある。

特に、この中で、SSPPやTNLAについては、一定の勢力規模を有すことから、将来的なKIAやUWSAの取り込みに向けた布石となることが期待される。

  1. UNFE (United Nationalities Federation Council)
  2. New Mon State Party (NMSP)
  3. Karenni National Progressive Party (KNPP)
  4. Arakan National Council (ANC)
  5. Lahu Democratic Union (LDU)
  6. Shan State Progress Party (SSPP)
  7. Ta’ang National Leberation Army (TNLA)
  8. Northern Alliance

Source : Myanmar Times October 16, 2017

 

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