ミャンマー人口構造・行政単位・宗教・都市化の状況
海外進出を検討するにあたっては、単に国全体の人口や主要な宗教程度の知識では無く、より細部にわたって把握しておくことが重要だ。
今回は、2014年の国勢調査の結果を踏まえて、ミャンマーの国の行政単位や人口構造等について簡単に解説していきたい。
<ミャンマーの行政単位>
ミャンマーはビルマ族が中心に居住する7つの管区、少数民族が中心に居住する7州に分割されており、以下の表の通りのDistrictから最小のVillageまでの地域区分を有している。
このうちTownshipは重要な行政単位と位置付けられ、国政選挙における下院(Pyithu Hluttaw)はこのTownship毎に選出されることとされている。
※ 下院議員440名のうち、国軍選出議員が25%の110議席を占め、残りの330名は選挙により選出される。なお、上院(Amotha Hluttaw)の議員224名については、国軍選出議員が25%の56名、残りの168名は、人口比に関係なく、7州、7管区それぞれより12名づつ選出される。
Source : Socio Economic Atlas of Myanmar 2017
<都市別人口>
1983年以降、31年ぶりに行われた2014年の国勢調査報告ではミャンマーの人口が51百万にであることが明らかとなった。
前述の7州において全体の29%、7管区において71%が居住している。ヤンゴン管区の人口は7百万人を超え、全体の14%、続いてマンダレー管区、エーヤワディー管区が共に12%を占め、最大の州であるシャン州には5.8百万人(11.3%)となっている。
人口 | 人口割合 | 人口密度 (人/km2) | |
KACHIN STATE(カチン州) | 1,689,441 | 3.3% | 19 |
KAYAH STATE(カヤー州) | 286,627 | 0.6% | 24 |
KAYIN STATE(カイン州) | 1,574,079 | 3.1% | 52 |
CHIN STATE(チン州) | 478,801 | 0.9% | 13 |
MON STATE(モン州) | 2,054,393 | 4.0% | 167 |
SHAN STATE(シャン州) | 5,824,432 | 11.3% | 37 |
RAKHINE STATE(ラカイン州) | 3,188,807 | 6.2% | 87 |
7州計 | 15,096,580 | 29.3% | 40 |
SAGAING REGION(サガイン管区) | 5,325,347 | 10.3% | 57 |
TANINTHARYI REGION(タニンダーリ管区) | 1,408,401 | 2.7% | 32 |
BAGO REGION(バゴー管区) | 4,867,373 | 9.5% | 124 |
MAGWAY REGION(マグウェイ管区) | 3,917,055 | 7.6% | 87 |
MANDALAY REGION(マンダレー管区) | 6,165,723 | 12.0% | 200 |
YANGON REGION(ヤンゴン管区) | 7,360,703 | 14.3% | 716 |
AYEYARWADY REGION(エーヤワディ管区) | 6,184,829 | 12.0% | 177 |
NAY PYI TAW(ネピドー) | 1,160,242 | 2.3% | 164 |
7管区+ネピドー | 36,389,673 | 70.7% | 119 |
MYANMAR ALL(ミャンマー全体) | 51,486,253 | 100.0% | 76 |
Source : 2014 Census結果よりTVP Japan作成 |
<宗教>
ミャンマーは仏教国(上座部仏教)といわれ、前述の通り少数民族が約3割を占めるものの、仏教徒の割合は全体の9割近くに上る。続いてキリスト教が約6.3%、イスラム教が2.3%となっている。ヤンゴンにおいては全体の構成と近く91%が仏教徒が占める。
但し、都市別には割合の違いも見られ、北部チン州(Chin State)では全体の人口は少ないものの、仏教徒は13%に留まり、キリスト教が85%にのぼる。またカチン州(Kachin State)およびカヤー州(Kayah State)においてもキリスト教の影響が高いと言える。
なお、下の表において、ラカイン州のイスラム教人口が29千人となっているが、これはミャンマー政府がロヒンギャに対する国籍を認めておらず、国勢調査に反映されていない為であろう。
Source : Socio Economic Atlas of Myanmar 2017
<都市化の状況>
都市化の状況については、2014年時点において都市部人口30%、農村部人口70%となっている。
経済都市ヤンゴン管区だけで見れば、都市7割、農村3割で構成され、上記の比率が逆転している。ヤンゴン管区にも、ヤンゴン市以外の周辺地域においては未だ農村が広がっている。
他の州・管区においては総じて農村地域での居住者が多く存在する。
注目すべきはヤンゴンの西に位置するエーヤワディー管区であり、同地区は古くから農業地域と呼ばれている。人口6.1百万人を擁すものの、都市人口割合は14%と全管区・州で最も低く、今後ヤンゴンに対して更なる人口流入が進んでいき、全体としての都市化は進展していくものと推察される。
Source : Census 2014
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