ミャンマー株式購入の基礎知識(ヤンゴン証券取引所での株式投資のの買い方)
新会社法の運用開始が遅れることによりヤンゴン証券取引所(YSX : Yangon Stock Exchange)において外国人が株式を購入できる時期もより不透明となっている。
但し、会社法自体は成立が確定しており、またミャンマー当局も会社法上の運用を上場株式に取り入れる方向に変わりは無く、従って時間の問題で外国人投資家がミャンマー企業の株式へ投資が出来ることは間違いがない。
その意味では未だ時期尚早の感はあるものの、実際に投資が可能となった日を見据えて現状の証券投資にかかるルール・手続きをまとめておきたい。
<営業時間>
証券取引委員会(SECM : Securities and Exchange Commission of Myanmar)の通達(Notification(3/2015))により証券会社は平日の午前9時から14時は少なくとも営業することが求められている。
また、YSXにおける取引時間は9時半から午後1時となっており(YSXのトレーディング事業規則(Trading Business Regulations)7条)、午前11時と午後1時の2回のみ板寄せが行われる(現状ザラバは無い)。
つまりYSXは前場の取引を9時半から11時まで受け付け、後場の取引を11時から13時まで受け付ける。
証券会社では通常9時頃から営業を始め、9時以降の注文は当日分、また13時以降に受け付けた注文を翌日分として注文処理を行っている。
取引回数は、2018年3月30日より、午前10時、午前11時、午後0時、午後1時の4回に増加する。
取引回数は、2020年3月26日より、一日7回となる。
<口座開設>
YSXでの取引を行う為には証券会社での口座開設が必要となる。
外国人の口座開設手続きについては依然明らかでは無いものの、パスポート及び銀行口座情報等の提示が求められるものと推察される。
口座開設後は、株式の購入代金を各証券会社が指定する銀行口座に資金を送金する。
なお、証券会社の銀行口座では投資家に対して預金金利は付かない点に留意が必要。
<注文形態>
売り買いそれぞれについて、成行注文(Market Order)と指値注文(Limit Order)が可能だ。このあたりは日本の株式投資と変わらない。
同価格の注文については時間優先の原則が適用される。また、指値注文については値幅制限内における価格帯であることが必要だ。
<取引対象>
現状YSXで取引が可能な金融商品は普通株式のみであり、社債、国債、信用取引、オプション取引等は出来ない。
<株券の取扱い>
YSXの上場株式は全て電子化されており実際の株券は発行されない。
<決済日>
決済は約定日より3営業日後(T+3)に口座振替の方法により行われる。
<手数料(2018年8月5日、追記)>
ブローカレッジ手数料は、SECMの通達により定められている。従って、現状6社ある証券会社のどこを用いても手数料には差異は無い。
SECMは、YSXにおける取引量の活性化を図る為、手数料率を引き下げ、2018年8月1日以降、以下のとおり運用を開始している。
これは従前、たとえば3000チャットの銘柄を1株買う際に、手数料が5000チャットかかるという事態が生じていたため為であり、小口の資金を集める意味においては有効に機能する可能性はある。
2018年8月1日以降の手数料率(Notification 1/2018)
売買金額が100万チャット以下 : 売買金額の1.0%
売買金額が100万チャット超1000万チャット以下 : 売買金額の0.7%
売買金額が1000万チャット超1億チャット以下 : 売買金額の0.5%
売買金額が1億チャット超 : 売買金額の0.4%(但し、上限金額を40万チャット)
<参考>YSX開設当初から2018年8月1日まで(Notification (3/2015)
売買金額が50万チャット以下 : 5000Ks
売買金額が50万チャット超100万チャット以下 : 売買金額の1.0%
売買金額が100万チャット超1000万チャット以下 : 売買金額の0.8%
売買金額が1000万チャット超1億チャット以下 : 売買金額の0.6%
売買金額が1億チャット超 : 売買金額の0.5%
<課税>
Taxation Law 2015に基づき、投資家は譲渡益課税(Capital Gain Tax)として売買益に対して10%の課税が生じる。当該比率は国内投資家、海外投資家共通だ。
また、投資家は株式購入時に、購入金額に対して0.1%の印紙税(Myanmar Stamp Duty Act 2014)を求められる。(売却時には不要)
この記事へのコメントはありません。