ミャンマー資本市場創設メンバーが語るミャンマー経済・投資の実際

世界で2番目の歴史を有すヤンゴン日本人学校(ミャンマーの教育事情を紹介)

生活環境の改善が見られるヤンゴンではあるが、赴任者の関心は医療事情に並んで教育事情にも有るのでは無いだろうか。そこで今回は、ブログのテーマとはかけ離れた教育の状況について簡単に紹介をしたい。

教育業界は専門外ではあるものの、一応私も教育学部出身ということでその当たりは多少多めに見てもらいたい。

ちなみに、我が家は全校生徒200名程( 2017年12月現在)の日本人学校に3名の子どもを通わせており、現状の占有率にして約1.5%、ちょっとした大株主気分でもあるが、今回はユーザー目線で進めたい。

<日本人学校の概要>

ヤンゴン日本人学校は1964年設立と、海外の日本人学校としてバンコク(1962年)に次ぐ世界で2番目の歴史を有す

ネ・ウィン将軍による軍事クーデターが1962年、その翌年の1963年には全商業銀行が国有化され鎖国体制が開始。日本人学校の設立は、1964年6月3日であるが、1度目の廃貨はその前月に行われている。このような時期に設立されたことには違和感があるかもしれない。

しかしながら、政治体制、経済情勢は1960年代後半までは一定の秩序を持って担われていた部分もあり、1964年時点では大きな混乱は生じていなかったものと思われる。

 

<生徒数推移(1964年~2015年まで)>

1970年代には全校生徒数が10名にも満たない状況も見られたが、1980年代には増加し30名程で推移してきた。

その後、民主化運動が激化し治安が悪化した1988年を境に大きく減少することになる。

90年代は対外開放が進められた時期であり、日系企業数も増加、生徒数の拡大が見られた

2000年代は経済活動面においては停滞の時期であり生徒数にも大きな変化は見られなく、ミャンマーブームが始まった2013年頃より急増、2017年度開始時点においては202名となっている。

海外の日本人学校は文部科学省の定める学習指導要領に準拠したカリキュラムに則り授業が進められる

現在(2017年度)は幼稚部2クラス(2017年度より年少を廃止)、小学部7クラス(2017年度は4年生のみ2クラス)、中学部3クラスによって構成されている。

教師は文部科学省による選抜に基づき派遣されており、概ね保護者からの評価は高く、優秀な方々が多く見られる

<高額な学費負担>

私立学校としての日本人学校の授業料は日本国内に比較し高く、また近年の生徒数増加に伴う新校舎設立にかかる費用負担により学費は上昇傾向になっている。

仮に我が家(小学生3名)と同じ家族構成の方が日本から新たにヤンゴンに移住し、日本人学校に通わせてバス通学とされる場合の初年度費用は以下の通りとなる。

入学金2000ドル × 3名 + 運営維持費60ドル + 授業料400ドル × 12カ月 × 3名 + 教材費240ドル × 3名 + スクールバス130ドル × 12カ月 × 3名 = 25,860ドル(一人当たり8,620ドル)

ちなみに、ミャンマーだけが高いということでは無く、海外の日本人学校は総じて学費は高い傾向にある。

例えば、隣国のバンコク日本人学校(泰日協会学校)では、入学金15.5万バーツ、学費年額12.2万バーツで、初年度費用合計は27.7万バーツであり(それぞれ2017年度)、米ドルでは8,500ドル程度と大きな違いは無い

企業派遣の場合は通常一定額(場合によっては9割程度)が会社負担となり、本人負担は限定的である為、総じて駐在員の中でこれら学費について気にしている人は少ないだろう。

実際、我が家も駐在員時代は全く気にはならなかった。しかし、独立して全額自己負担となると全く景色が異なる。

だったらそもそも海外で独立などするな、ということになるかもしれない。確かに日本で大した納税をしていない者を補助する所以も無いかも知れない。

ただ、そうは言っても文科省認可を受けた義務教育である。

また、ODAで海外の人々に橋や道路を作るのなら、邦人が活躍するためのインフラ作りの方が国益に沿うとの考え方もあるだろう。

必ずしも学費の問題だけが原因では無かろうが、日本人学校離れも現象としては指摘されている

少なくとも、家庭を持つものが海外独立をすることの実質的な障害の一つとなっていることは間違いない。

<ヤンゴン日本人学校の費用項目(2017年度)>

入学金 : USD2,000(1人につき) ※内部進学の場合一人につきUSD500

運営維持費 : USD60(1家庭につき) ※日本人会に入会している場合は不要

幼稚部学費(月額) : USD400

小学部学費(月額) : USD400

中学部学費(月額) : USD450

教材費(年額) : USD240

バス運営費(月額) : USD130

2018年4月追記:費用項目変更(2018年度)

入学金 : USD2,000(1人につき) ※内部進学の場合一人につきUSD500

運営維持費 : USD60(1家庭につき) ※日本人会に入会している場合は不要

幼稚部学費(月額) : USD420

小学部学費(月額) : USD420

中学部学費(月額) : USD470

教材費(年額) : USD240

バス運営費(月額) : USD166

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