ミャンマー株が外国人投資家へ開放(ミャンマーの証券会社を通じてヤンゴン証券取引所の株式の売買が可能へ) ②口座開設編
概略・背景編で述べた通り、紆余曲折を経て2020年3月20日より外国人による株式売買が可能となるわけであるが、ここではミャンマー証券取引委員会(SECM: Securities Exchange Commission of Myanmar)により公表された指示書(Instruction, No. 1/2020)を元に、制度・手続きを解説する。
まず大前提として、ヤンゴン証券取引所で株式の売買を行うためには、大きく分けると2つの種類の口座を新設する必要がある。
一つはミャンマーにある証券会社での「証券口座」、もう一つはミャンマーにある銀行での「証券取引専用口座」である。外国人については、居住・非居住の別に関係無く、この2つが必要となる点をまず抑えておきたい。
なお、証券口座は、一人一口座しか開設出来ない(※)ので、証券会社の選定は慎重に行う必要があるだろう。
※ 後々証券会社を変えられないわけでは無いが、残高移管を行い既存口座を閉じる必要があるため煩雑だ。
証券口座開設の流れ
まず、証券口座開設の流れを告示書に沿って解説しよう。
1.口座開設にあたっては、口座開設必要書類(※)を持参して、まず証券各社が指定する口座開設申込用紙(フォームは証券各社毎で異なる)への記入が必要となる。日本で証券口座を作るのとイメージ的には変わらない。
※ 必要となる書類は証券会社毎に異なるため、事前に確認が必要。通常はパスポートの原本に加え、顔写真付き本人確認書類(本国で発行されたもの)。「居住者」(後述)については、これに加え居住要件を確認する書類(Stay Permit,賃貸契約書等)の提出が求められる。
2.次に、上述の通り一人一口座の原則があるため、申込みを受けて証券各社はヤンゴン証券取引所(YSX: Yangon Stock Exchange)に対して、申込者が他の証券口座を保有していないことを確認する(ここで既に他の証券会社を通じて口座を保有していると弾かれてしまう)。
3.その後、申込者はミャンマーにある銀行で証券取引専用口座(後述)を開設するために必要となる「推薦状」(Recommendation Letter)を証券会社より受け取る。この推薦状が無いと証券取引専用口座は開設させてもらえない。また、推薦状を受け取るためには、証券会社による本人確認手続き(KYC: Know Your Customer)が事前に行われる。
4.当該推薦状には、以下の5つの情報が含まれているはずなので、推薦状を受領次第、記載内容を確認するのが良いだろう。
A) 申込者の氏名及び住所
B) 申込者の生年月日
C) 申込者のパスポート番号(または本国で発行された公式のID番号)
D) 申込者が証券取引専用口座を開設しようとしている銀行の名称(或いは外銀の支店名)
E) 申込者が既に保有している銀行口座の情報(証券取引専用口座ではなく、普通の銀行口座。居住者の場合はミャンマーの銀行、非居住者の場合は海外の銀行であり、当該銀行口座と上記で新たに作る証券取引専用口座の間でのみ資金移動が許される仕組み)
5.証券会社は、申込者に対して証券取引専用口座は、証券取引のみの目的でしか使えないことを確認する。証券取引専用口座は、口座内で決済等は行えないので、単なる資金移動のゲートのような役割だけを果たす口座と考えれば良いだろう。
6.証券会社は、申込者の証券取引専用口座の開設状況を確認した上で、証券口座を開設する。
以上の流れを大まかにまとめると、①証券会社で申込みをして推薦状を受領、②推薦状を持って銀行に行き証券取引専用口座を開設、③証券会社に戻って証券口座開設、となる。
証券取引専用口座とは
ミャンマー株式の取引、つまりはヤンゴン証券取引所での売買は全てミャンマーチャット建てとなる。
また、証券会社への入金も全てミャンマーチャット建てとなり、そのため、外国人投資家はミャンマーチャット建ての銀行口座(証券取引専用口座)の開設が求められる。
ここで、居住者(※)と非居住者では異なる証券取引専用口座が必要となる点に注意したい。
まず、居住者については「居住者向け証券取引チャット建て口座」(R-KAS: Resident Kyat Account for Securities)が一つあれば良い。
一方、非居住者の場合は「非居住者向け証券取引チャット建て口座」(N-KAS: Non-Resident Kyat Account for Securities)に加えて、「非居住者向け証券取引外貨建て口座」(N-FAS: Non-Resident Foreign Currency Account for Securities)の2つが必要となる。同一の銀行において2つの通貨に分けた口座管理(異なる口座番号)となる。
ここで非居住者については何故2つの口座が必要となるかについての理由であるが、海外から例えば米ドルで資金送金を行う場合に、チャット建ての口座に為替変換してダイレクトに資金送金を行うことは現状難しく、一度外貨建ての口座(N-FAS)に入れてからN-KASへ資金移動する流れとなるためである。
※「居住者」(Resident)とは、外国為替管理法(Foreign Exchange Management Law)第2条(e)の定義が準用されており、「直近12ヶ月に183日以上をミャンマー国内で居住する者」とあり、「非居住者」は居住者以外の者である。
以上の手順を踏めば口座開設は可能であるが、その他、証券会社・銀行の選定、売買注文の出し方、納税対応等、個別の不明点については、info@tvpmyanmar.com までご連絡頂きたい。
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関連記事 : 証券口座開設支援サービスのご案内(外国人投資家によるミャンマー株式購入をワンストップで支援) 2020年3月14日
ミャンマーに行かないと証券会社に口座開設は、難しいですか?少し、高くても、良いので、代行をお願いしたいと思います。