ミャンマー資本市場創設メンバーが語るミャンマー経済・投資の実際

ミャンマー情勢の最新情報 Vol.19(激動の2月、迎えた最終日)

※ 本記事は、2021年2月28日(日)ミャンマー時間11時半に執筆しています。

※ クーデター発生日よりClubhouseにて音声での情報発信を行っています(@myanshin)。ネット回線遮断時はご容赦下さい。ミャンマーの今を知って頂きたいという「信念」に基づいてお届けしています。

※ 企業向けに情勢分析レポートも別途承ります(info@tvpmyanmar.com)。現地ビジネス展開にかかる方針・シナリオ設計、合弁解消、資産売却、事業撤退手続き等幅広くご支援が可能です。

※ 発生日からの時系列、2月1日(月)2月2日(火)2月3日(水)2月4日(木)2月5日(金)2月8日(月)2月9日(火)2月10日(水)2月11日(木)2月12日(金)2月14日(日)2月16日(火)2月17日(水)2月19日(金)2月21日(日)2月22日(月)2月23日(火)2月25日(木)の記事も合わせてご覧ください。

肩こり

激動の2月が本日で幕を閉じる。

明日3月1日(月)からは一部の企業・工場等の再開が見込まれ、またアウンサンスーチー国家顧問の裁判所での審理が同日から開始されることもあって、デモ隊にとっても今が正念場との意識が高いだろう。

2月最後に相応しい日にすべく本日は大規模なデモが呼びかけられている。朝から我が家の前でもデモ隊の行進の声が聞こえる。その規模は全土で数百万人規模と見られた2021年2月22日の所謂「22222運動(Five Twos Uprising)」と同程度となる可能性があろう。

本日のデモの呼び掛けは、国内外のミャンマー人によるこれまでの抗議活動とは異なり、海外の民主化運動と呼応した所謂ミルクティー同盟(Milk Tea Alliance)との本格的な協働となっている点において異なる。

ミルクティー同盟とは元来、紅茶(Tea)を飲む際にミルクを入れない中国に対して、ミルクを入れる文化を持つ東南アジア各国或いは香港・台湾等が加わって、主にインターネット上で拡散した中国への抵抗運動であった。「反中国」から始まり、現状では「東南アジアにおける民主化運動」の色彩が強まり、香港・台湾・タイ・ミャンマーが中心となって活動を進めている。

一方、国軍側の対応は足元明らかな過激化が見られる。2月22日の大規模抗議においてさえヤンゴン市内では大きな衝突は見られなかったが、26日からは治安部隊による逮捕・発砲が市内で散見されるようになった。ヤンゴンでの拘束者は200名近くにのぼると見られる。強制排除の流れが本日28日も続くとすれば、その数は甚大に膨れ上がることが強く懸念される。ヤンゴン市内では朝から銃声が聞こえるとの情報が各所で生じている

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<国連大使を巡る駆け引き>

2月26日に開催された国連総会(UN General Assembly)の特別会合で、ミャンマーのチョーモートゥン(Kyaw Moe Tun)国連大使が国軍に対する批難を行ったことが注目されている。大使が自国の政権を批難するという国連の歴史上でも例を見ない事態とも言われている。

チョーモートゥン大使は、2月5日に結成された国民民主連盟(NLD)議員を中心とした連邦議会代表委員会(CRPH : Committee Representing Pyidaungsu Hluttaw)の声明を読み上げ、国連全193加盟国・地域に対して「ミャンマー国軍に対するあらゆる手段を取る“to use any means necessary to take action against the Myanmar military“)」ことを呼びかけた。デモ隊側が多用している抗議の意思を示す3本指を掲げる仕草を会合の場で行った勇敢さについても賞賛を集めている。

何故、国軍側がクーデター前から任命されていたチョーモートゥン大使を国連の場に出席させたのか、事前に解任しなかった理由については理解に苦しむ。同大使が直前に民衆側に覆った可能性もあるだろう。同氏は、1993年から2015年までミャンマー外務省で長く外交官として米国やシンガポール等の各国大使館を回り、日本の国際大学(International University of Japan)で修士を取得した経歴を持つ。国連大使就任前は、NLD政権下の2016年から2018年まで外務省の局長も務めていた。国軍側は同大使が国連の場で国軍を明確に非難することを事前に予測出来なかった可能性もあるかもしれない。主にNLD議員で構成される連邦議会代表委員会(CRPH)は2月22日の段階で国連への特使(Special Envoy)としてチン州出身のササ(Sasa)を任命していた。

26日の国連総会を受けて、翌27日ミャンマー国軍は同氏を解任したことを発表。今後、同解任を国連が受け入れるのか、或いはCRPHが任命したササ特使の取り扱い等を含めて、国軍側が指名する国連大使との間での権限関係における複雑な構図が生じる可能性があるだろう。

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<英国による追加経済制裁が発動>

2月18日に国軍幹部3名に対して制裁を発動していた英国が、2月25日(木)6名の追加リスト入り(Financial Sanctions Notice)を発表

(2021年2月25日現在の英国による経済制裁の全対象リストは、こちら

今回の対象は、全て国家統治評議会(SAC : State Administration Council)の国軍側のメンバー。何故かソーウィン国軍副総司令官だけが抜けているところが若干気になるが、基本的には米国の制裁対象と歩調を合わせた形と理解できるだろう。

(SAC構成員と米国・英国の経済制裁対象との関係性一覧)

第一弾(18日)と同様に追加制裁対象者は、英国への渡航禁止や英国内資産の凍結が科される。今後、米国が国軍関係の企業等にも幅広く制裁を科す可能性は十分考えられる。英国及び欧州連合(EU)も追加制裁の幅を広く残している状況と言える。

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<2020年11月総選挙を巡る動き>

昨年11月の総選挙における不正を証明しようと国軍側は躍起だ。そもそも今般のクーデターに至った国軍側のロジックとしては、選挙不正が証明されなければ大義名分が立たないからだ。

国軍によって再結成された選挙管理委員会(UEC : Union Election Commission) のテインソー(Thein Soe)委員長は、 2月26日(金)クーデター後初となる政党向けの説明会を開催。ミャンマーで正式登録されている91政党のうち国軍に近い連邦団結発展党(USDP : Union Solidarity and Development Party )を中心とした53政党が出席。38政党は参加を見送った

会合の場で、テインソー委員長は11月総選挙結果は無効と発表。また、既に2月1日の非常事態宣言(Stete of Emergency)が発動された時点で、全権は国軍司令官に委譲されていることから、NLD議員等が行っている「国会運営や通知、代表者指名等は違法である(It is illegal to perform the Hluttaw works such as forming committees representing Hluttaw without authority, holding committee members, making announcements and notifications and “appointment of representatives” during the investigation period of UEC)ことを明確化した。

本発表の中に含まれている「代表者の指名(Appointment of Representatives)」は、アウンサンスーチー氏に対する国家顧問職の再任命、或いは上記のササ国連特使の任命等を意識したものと考えられるだろう。

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<国際機関・企業各社の動向>

ロイター通信によれば、2月22日(木)世界銀行(World Bank)がミャンマー当局に対して支援事業にかかる資金拠出を停止することを通知していたことが判明。2月1日以前までの支払い要請は受け付ける一方、クーデター発生日以降の支払いには応じないこと(”Effective February 1, we have temporarily put a hold on disbursements on our operations in Myanmar “)を発表した。

また2月26日の日経新聞の報道によれば、ミャンマーへの政府開発援助(ODA)について、日本政府は新規案件を当面見合わせる検討に入ったとされている。通常、ODA案件については相手国政府の要請に基づいて行われることになるが、国内外で正式に認められていない軍事政権からの要請を受け付けることは現実的に困難と考えられたのだろう。

一方、企業側では米Facebookが2月24日、国軍、関連企業、国有企業等を対象(ただし保健省・教育省等は除く)に、フェイスブックやインスタグラムのサービス利用を停止することを発表している。

また、日本ではトヨタ自動車が2月中に予定していたティラワ工業団地における新工場稼働を延期することが公表された(2月25日)。

今後、国際的企業の中にはミャンマー事業の再検討・撤退等の動きが加速していく可能性があり、同国経済への打撃、特に国民生活への影響についての懸念が高まっている。

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